大きな震災の時、マンションの給水設備はどうなるの?
給水方式により状況が変わる
まず、地域一帯で「断水」が起きた場合を考えます。公共の水道本管から給水が行われない状況です。
お住まいのマンションが受水槽を利用しないで給水する「直結給水」を採用している場合は、水の供給は止まります。これは近隣の戸建ての住民と同じ状況です。
しかし「受水槽」「高架水槽」を設備しているマンションの場合、「条件付き」ですがタンク内の水は利用できますので、断水の間でも水は出ます。「条件付き」とは、地震や災害の規模にもよりますが、大きな地震などの際は「受水槽そのものが破損」したり「停電」が起きると、貯めた水を屋上の水槽や各家庭まで汲み上げるための「ポンプが動かなくなる」ので給水は止まってしまいます。
なので公共の水道本管が断水していない場合でも、近隣の戸建住宅は水が出ているのに「マンション内だけ断水」してしまうという状況も出てくるのです。
また本管の水圧を利用する「直結給水」では、停電時でもポンプなしで「低層階」には給水できるケースもありますので、大型のマンションでは「居住階」によっても変わることが出てきます。
「受水槽」や「高架水槽」の水は緊急時に役立つのか?
役立てるためには、受水槽の水を「公平」に利用するためのルールづくりが必要
このように「受水槽」もしくは「高架水槽」を利用しているマンションの場合、水道本管が断水しても停電していなければ受水槽に溜まった分の水は出ますし、停電していたとしてもタンク内の水は取り出しうことができれば一時的は利用が可能になります。
そこで地震などの災害時にマンション特有に起きる状況として、地震が起きるとすぐバスタブやポリタンクに大量に水を確保する方が出てくることです。
マンション内の多くの方が一斉に水を溜めると、タンク内の水もすぐになくなり、何より早い者勝ちとなり「公平性」の点でも問題が残ります。
やはり普段からマンション全体で公平に水を使えるように、あらかじめマニュアルなどで、水の使用を控えてもらうよう管理組合内で共有しておくことが大事です。
災害時「受水槽」の水を公平に分配するための方法とは?
マンションによっては、大きな地震が起きた時には自動で給水バルブが閉じる「緊急遮断弁」を利用して貯水してある水を公平に分配できる仕組みを作っています。
「緊急遮断弁」は震度5相当の揺れを感知すると、自動的に受水槽から各住戸に給水される配管に取り付けられたバルブが閉鎖され、配管の折損や居住者の急激な利用などから貯留水を保護して、受水槽の中に非常用の生活用水を確保することができます。
これにより、長期の断水となった場合でも市や町の水道局からの給水車などによる給水が開始されるまで、貯留された水をマンション内で計画的に利用することが可能となります。
ただし「受水槽」を利用するためには「鍵」が必要であったり、タンクから水を出す方法などを予め確認しておく必要もありますので、平時より管理組合とよく相談をしておくことが必要です。
災害時の水の確保は重要です。特に高層マンションの場合、水を自宅まで運ぶ労力は戸建住宅とは異なる環境や状況になる点を十分に考慮する必要があります。災害の規模にもよりますがどのような給水方式であっても、一般家庭と同じ様に災害時の水の確保は準備しておきたいところです。